社会の起源と「火」
人間は、野生動物と違い「火」を使う。
この、「火」が社会を作ったと言ったら意外だろうか?
人類と「火」
「火」そのものは人間が生み出したものではなく、もともと自然の中にあった。
ほとんどの動物にとっては自然現象の一つであった「火」を、人間だけが道具として利用することを覚えたのである。
おそらく、自然の中にある食べ物を「火」で加工することで、柔らかく、食べやすく、消化しやすい形にしたのがはじまりだろう。
狩猟や採集によって得られた食物を「火」で加工することで消化しやすくなる。また、水分を飛ばしたり、タンパク質が編成することで、食物のカロリー密度が高まる。
すなわち「火」の利用は、ひとつは、自然現象を人為的に利用し、自らに都合の良い形に変革するという文明の始まりであり、ひとつは、カロリー需要を満たしホモサピエンスへと生物の進化を加速することの始まりでもあった。
文化と社会の始まりにあった「火」
森林の中で、狩猟採集生活していた人類が、「火」を使い始めたころを想像してみる。
それまで食物は、手に入れれば腐る前ならいつでも食べていいものだったが、一度集めてから「火」で調理するという工程が加わる。
すると「火」の周りが調理場になる。食物を集めて、火をおこし、調理をするようになると、自ずと食事の時間が決まってくる。
猿から進化したばかりの人類の祖先は、森の中で「火」を焚くことでほかの動物から身を守り、「火」を囲んで食事をしていたに違いない。
そこに共同体が形成され、文化が生まれ、社会が作られていったのだろう。
